2018/11/25 23:35

7.27以降、という言い方をしてもいいかもしれない。2018727日に行われた杉田水脈衆院議員議員に対する自民党前抗議行動はそれ以前と以降で日本のLGBTムーブメントを変えるエポックメイキングなものとなった。


その日に集まった5000人は誰に動員されたのでもない、twitterでの呼びかけに応えてそれぞれの意志でやって来た人たちだった。そこには当事者もいればアライもいた。普段、政治的な問題についてこのような形で声を上げることにためらいを持っている人の姿もそこにはあった。初めてデモに参加するという人も少なくなかった。


この10年ほどLGBTムーブメントは確実に成果を上げてきたと言ってよい。しかし一方で、この間の活動にマーケティング的な戦略を持つ側面があったことで、LGBTイシューの本質である人権問題という原点が見えにくくなっていたことも事実だろう。


7.27から生まれた大きなうねりは人権問題としてのLGBTイシューに回帰していく転換点となった。


そして、その後に続く議論の中でセクシュアルマイノリティが内面に抱える問題があらわになってきた。


浮かび上がったのはデモや抗議活動をすることに否定的な感情を持つセクシュアルマイノリティ当事者の存在だ。中にはマジョリティの側に同調することで、あたかも自分もマジョリティであるかのように錯覚しているかのごとき者も見受けられた。


とにかく波風を立てたくない、マジョリティに迎合してたとえ二級市民としてでも平穏に暮らしたい。このような心理のよってたつところはもちろんプライドの欠如である。


ヘテロノーマティブな社会の中でマイノリティ自身がフォビアを内面化してしまっているという悲しい現実。


今、我々は社会に対して声を上げると同時に自らの心を見つめ、内面化してしまったフォビアを排し、自己を肯定的に捉えていく努力が必要なのだ。


Over』はセクシュアルマイノリティが自己肯定していくための雑誌である。SNSのように夾雑な意見が飛び交うメディアでは不可能なこと、紙に書かれた文字にじっくり向き合いながら自己と対峙し自己を肯定していくことを可能にするものなのだ。


波風立てて行こう。そしてそれを乗り越えて行こう。


We shall Over come.


Over magazine 編集長 宇田川しい

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